あぶり続けぇ、百有余年

三重県南部は尾鷲市の そのまた南の果てにある
ちいさな、ちいさな漁師まち 梶賀町。
その地でのみ親から子へと、代々受け継がれる伝統燻製食
『梶賀のあぶり』
口に入れると広がる香ばしい燻煙と地元素材の芳醇な旨味
悠久の時を経てなお伝わるこの味
ぜひ一度、ご賞味ください。

起 源

さかのぼること百有余年。せっかく漁師が命からがら獲ってきたのに足が早いからと、値が付かず市場で廃棄される魚を見て思った人がいた。

"もったいない" と

それらを拾い集めた当時の住民は、冷蔵庫など無い時代に自分たちで食べる為、いかにして保存性を良くするかを考えた。その結果、生まれたのが薪木をくべた煙で魚を燻す "梶賀のあぶり" である。それは漁師たちの手軽なお昼ご飯であると同時に、今のように食料を安定的に手にする事の出来なかった当時の人々の命をつなぐ重要な保存食となった。

製 法

"梶賀のあぶり" 作業は日の出と共に始まる。

その日の朝、地元で水揚げされたばかりの小さな魚から手慣れた様子で頭と内臓を取る。そこに永年の感覚で振り塩し、80歳に迫るじいちゃん・ばあちゃん達の手によって手作りの竹串に丁寧に一匹ずつ、一串に十数匹 通されていく。

串打ちした魚は昔から使われている手作りの "あぶり台" に乗せられ、備長炭の材料ともなるウバメガシや香りの良いサクラ等、各家庭こだわりの薪木を燃やした煙と熱でじっくりと遠火で燻される。時間は小さいもので1時間半、大きな魚では2時間以上。焦がさないように絶妙な火加減を保ちながら付きっきりで行われる。限られた時間の中、すべてを手作業でこなすので、生産数は1日に100本前後。多い日でも200本程度しか作ることが出来ない。

"梶賀のあぶり" には季節ごとに地元で水揚げされる様々な魚が使われる。暖かくなると共にとれ始める春のサバゴ(サバの子供)に始まり、初夏の水揚げが少ない時期にはソマガツオ。猛暑となる真夏、定置網漁が休漁期になるとあぶり生産も休みに入る。そして涼しくなった10月中旬の開漁と共にオオサバ等をあぶり始める。その他にも漁の具合によって、イサギ・カマス・ムツ・シイラに加え、近年ではブリ等 様々な魚が昔と変わらない製法であぶられる。